日焼けという不条理に立ち向かう

敏感肌が日焼けという不条理と立ち向かうために

カミュの『異邦人』のなかで、主人公であるムルソーが殺人の動機を「太陽が眩しかったから」と述べる場面は非常に有名ですが、「殺人の動機」としては不条理である「太陽が眩しかったから」という理由は、「日焼け止めを使う理由」としてはまったく条理に適っているといえるでしょう。

しかし、「太陽が眩しかったから」という一見すると完璧な理由だけでは、もしかすると、「日焼け止めを使う理由」としてはやや不十分であるのかもしれません。

というのも、「日焼け」という症状は、「紫外線」によってもたらされるのであって、「紫外線」は、なにも直射日光の眼に見える太陽が強く照りつけているときにだけ私たちの皮膚に降り注ぐのではないからです。

太陽から降り注ぐ紫外線は年中無休である

太陽から降り注ぐ紫外線は年中無休である

「太陽がまるで眩しくない曇りの日」においても、人の皮膚は、目に見えない「紫外線」の攻撃にたえずさらされているのです。曇りの日における紫外線の量は、直射日光がさす晴天の日よりも強いとも言われています。太陽は、年中無休で紫外線を放っているのです。

ですから、「太陽が眩しかったから」という理由でのみ日焼け止めを使うとしたら、それは手落ちと言わざるをえません。

もし、日焼けに対して万全を期するならば、「太陽が眩しかろうが隠れていようが、紫外線は私たちのもとに降り注ぎ続け、肌にダメージを与え続けているのだから、私たちは、春夏秋冬すべての季節において油断せず、日焼け止めを全身に塗りたくる、太陽に抗わなければならないのだ」という力強い宣言とともに日焼け止めを使う必要があるのではないでしょうか。

日焼けという不条理との闘いは終わらない

日焼けについて考えていきますと、日焼けというものは、人間が地上に産み落とされて太陽の光の下で生きていかなければならないということ、それ自体の「不条理」を突きつけてくるようにも思われてきます。

「日焼け止めを使う理由」は条理にかなっているが、そもそも「日焼け」それ自体が不条理であるわけです。

私たち「日焼け」に悩まされる人間は、「不可視の太陽」にもたえず晒されているというムルソーとの決定的な違いを持ってはいるのですが、日焼け=太陽という不条理に苦しめられながら生きる私たちは、もしかすると、「太陽が眩しかったから」と述べたムルソーと少しばかり似ているのかもしれません。

日焼け止めは太陽に対する抵抗の道具になりうるのか

日焼け止めというアイテムは、太陽がなければ生きていけないが同時にその太陽に苦しめられもする、という、生きることそれ自体に関わる不条理とのたえまない闘争における、抵抗の道具のうちの一つです。ところが、その抵抗の道具は、「敏感肌」の持ち主にとっては、敵にも味方にもなってしまう、というもどかしい側面を持ってもいます。

しかし、もし、日焼け止めというアイテムを少しでも味方にできたならば、太陽という不条理によってもたされる日焼けという大敵に立ち向かうにあたって、これほど心強いものはありません。

日焼け対策は日焼け止めだけなのか

私たちの肌というものがたえず目に見えない紫外線にさらされている以上、私たちは「日焼け」に向けた全面的な対策をしなければなりません。

「日焼け止めを塗る」という選択肢は、太陽に対抗しうる対策のうちの一つであるわけです。しかし、なかには「日焼けはしたくないが、日焼け止めを使いたくはない」という方もいるでしょう。

「日焼け止めを使いたくない理由」としては、「敏感肌」で日焼け止めが肌にあわない、日焼け止めを塗っていると「日焼け止めが塗られている肌」を意識しながら暮らさなければいけないので一日中気持ち悪い、といったものが挙げられるのではないかと思います。

日焼け止めを使わずに日焼けから逃れることができるならば、それに越したことはありません。ですから、まずは、「日焼け止め」を塗る以外の、日焼けを避けうる有効な対策を見ていくことにしましょう。

外出を可能な限り控える

「遮光カーテンで太陽光を遮断した家から一歩もでない」というような選択肢は、日焼け止めを塗らずにする日焼け対策としては、おそらく完璧なものであるでしょう。

しかし、私たちは、完全なる引きこもりが許されている環境でない限り、何かしらの用事でかならず「外出」をしなければなりません。ですから、このような引きこもり型の日焼け対策は、そのような環境のまま生きられるというある特権的な人間だけに可能な、現実味の薄い対策であるといえるでしょう。

肌の露出部分を可能な限り減らす

榎本俊二の『ムーたち』という漫画のなかには、頭のてっぺんから爪先に至るまで、サングラスのようなUVカットのガラスで全身を覆う「サンスーツ」と呼ばれる紫外線対策としては最強の防具のようなスーツが登場しました。

これもまた現実味が薄い話ではありますが、この「サンスーツ」のようなものが開発されれば、人は、もしかすると、「日焼け止め」なしで日焼け対策をした状態での外出が可能になるのかもしれません。

「サンスーツ」のような極端さはないにせよ、肌の露出をおさえて太陽にさらされる箇所を減らす、というのは、日焼け止め抜きの日焼け対策としてはポピュラーであるとさえ言えるでしょう。

実際、真夏日であっても肌の露出を極力抑えて、全身黒ずくめの衣服でもって太陽からの攻撃から身を守るという日焼け止め対策をしている方々の姿は、街中などでちらほらと見かけることができます。

全身黒ずくめにして肌の露出をおさえる、という対策をややライトな形にすると、「日傘」「帽子」といった日焼け止め対策に落ち着くことになるでしょう。

日焼けしにくい体質を身体の内側から整える

日焼け止め抜きの日焼け対策として、食生活の改善、入浴などで可能な汗腺や代謝の調整なども有効であるとされています。

余談になりますが、私は、近年はコンビニ食などをほとんどしませんし、野菜を中心にした手料理、炭水化物少なめの食事を心掛けておりますし、週に三回程度サウナに通って汗をかくようにしているのですが、そういった生活をする前に比べて、内側の部分から日焼けしにくい身体になってきている、というような感覚があります。

とはいえ、真夏の海などの帰り道にしっかりと焼けている自分の肌を見ると、それは思い込みであって、やはり、日焼け止めを塗るに越したことはないのかもしれない、と感じさせられるのも事実ではあります。

日焼け対策の方法はバランスよく併用する

日焼け対策の方法はバランスよく併用する

これらの「日焼け止めを使わない日焼け対策」は、一つの方法を「それだけ」で行う場合は、徹底的な実現が難しかったり、日焼け止め対策として不十分であったりします。
しかし、これらの「日焼け止めを使わない日焼け対策」の有効な部分だけを「いいとこどり」をするようにしてピックアップして「併用」する場合、これらの方法は、日焼け対策としてともに手をとりあい、大いに効果を発揮することになるでしょう。

私は、「日焼け止め」による日焼け対策というのも、このような性質を持っているのではないか、と考えています。「日焼け止め」だけで行う日焼け対策には、おそらく限界があるでしょう。

「日焼け止め」というのは、各種の日焼け対策と「併用」して、自分の肌質や、季節や天気や場所など、肌が太陽の下にさらされる状況などにあわせて、その都度、フレキシブルに選択をして使い分けていくことによって、大いに役に立ってくれるようなアイテムだと思います。

日焼け止めは日焼けの万能薬ではない

この日焼け止めを使っておけば日焼け対策は全面的に成功する、というような万能薬のような日焼け止めはおそらくありません。

「日焼け止めのみの日焼け対策」を試みた結果として、日焼け止めを塗りすぎてしまい、敏感な肌を痛めてしまう、ということもあるでしょう。

染みやそばかす、しわやたるみといった日焼けから起因する後遺症として発生する肌の表面のダメージを防ぐ、という目的のために日焼け止めを塗りたくり、その日焼け止めによって敏感肌を痛めてしまう、ということになれば、それは、ちょっと本末転倒な話ということになるのではないでしょうか。

日焼け止めの成分表を見てみますと、合成界面活性剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤といった文字列が散見されるのですが、どれもこれも、とても肌によいとは感じられないような、薬品的な響きを携えています。

実際、「肌に悪そう」という響きだけにとどまらず、これらの成分が配合された日焼け止めの過剰な塗布は、肌にとっては歓迎できないものであることは間違いありません。

日焼け止めに万人に共通の「決定版」はない

私は、日焼け止めに関しては、各種の「日焼け止めを使わない日焼け対策」を土台にしたうえでの「添える」程度の利用がよいという立場をとっています。

そのような「添える」程度の日焼け止めの利用においても、もし皮膚に異常が起こる場合は、もう日焼け止めそれ自体の利用をやめたほうがよいだろう、という考えも持っています。

「敏感肌の人にはこの日焼け止め!」というような決定版を提出することもできません。肌質は人それぞれに個人差があり、ある人にとっては「肌荒れ」などが起こらない日焼け止めが、ある人の皮膚には「肌荒れ」を起こす可能性があるからです。

もちろん、すべての日焼け止めを「毒」である、などと言いたいのではありません。ただ、ある種の日焼け止めが、人にとっては「毒」にも「薬」にもなりうる、ということは、日焼け止めを使う上での前提として抑えておくとよいでしょう。

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